知的障害者への「意思決定支援」に配慮した制度を求める
知的発達障害者の生きやすい法制度を求める
第5回東京大集会実行委員会
○知的障害者(知的発達障害者)は、生活のあらゆる側面において「意思決定」(自己決定)についての支援を必要とする。
○「意思決定支援」は、全生涯にわたって必要である(就労すれば不要となるのではない)。
○「意思決定支援」に当たる支援者の要件は、@本人との信頼関係、A長期継続支援、B支援の専門性である。知的障害者本人が希望するとおりにすると本人や周囲に不利益を与えることもある、本人が意識していないニーズを解明し、本人が自ら決定できるように支援する支援の専門性が必要である。
○障害者自立支援法により、知的障害者福祉は初めて身体障害者福祉等と統合された。しかし、「身体介護」の概念で制度設計されたため、障害程度区分等、知的障害者に合わない法制度となった。「本人の自己決定」を前提とする「介護」と、「意思決定」への「支援」は異なることの確認が必要である。
○自立支援法のサービス利用者の約6割が知的障害者である。知的障害者は最も支援を要する障害種別であることが立証された。
○総合福祉法は、知的障害者への意思決定支援を可能とする法体系でなければならない。もし総合福祉法のみでは対応できないのならば、スウェーデンのように知的障害者等への付加法(知的障害者福祉法・援護法)を設けるべきである。
○現在「総合福祉部会」では、「支援を得ながらの自己決定」が、支給決定や相談支援の場面に限定して検討されている。しかし知的障害者への「意思決定支援」は、「生活のあらゆる側面」で「合理的配慮」として必要であり、論点整理の見直しが必要である。
○「生活のあらゆる側面」とは、日常生活については、@多様な生活支援(ホームヘルプ・グループホーム・入所施設)、A自己実現のための日中活動支援、B社会参加支援(移動支援等)である。特に移動支援は知的障害者の社会参加にとって不可欠である。また入所施設は、地域移行を進めつつも、現状では必要とする知的障害者が多い実態を踏まえて有効活用を図るべきである。生活のあらゆる側面で「意思決定支援」を必要とする知的障害者には、特有の支援形態が必要である。
○知的障害者への支給決定においても、「本人中心のケアマネジメント」が重要である。
障害者権利条約第12条第2項及び第3項によれば、「国は知的障害者に対して、生活のあらゆる側面において、意思決定支援を利用することができるようにするための適当な措置をとらなければならない」と解釈できる。
(参考)
障害者の権利に関する条約和文テキスト(仮訳文)
第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
1 締約国は、障害者がすべての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。
2 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者と平等に法的能力を享有することを認める。
3 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用することができるようにするための適当な措置をとる。
【実行委員会構成団体・・・東京都社会福祉協議会知的発達障害部会、東京都発達障害支援協会、東京都知的障害者育成会、東京知的障害児・者入所施設保護者会連絡協議会、東京都自閉症協会、日本ダウン症協会】